当面する重要政策課題
~公明党の考え方~
目次
【政治改革について】
【選択的夫婦別姓制度について】
【消費税の軽減税率について】
【日本国憲法について】
安定的な皇位継承のあり方について
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【政治改革について】
"クリーンな政治"の実現は、公明党の一丁目一番地の政策です。
昨年の臨時国会で、公明党が議論をリードして実現した、調査研究広報滞在費(旧文通費)に関する、使い道の範囲限定、すべての支出への領収書の添付、未使用分の国庫返納―という制度が、いよいよ8月支給分から適用されます。
また、公明党の強い主張で設置が決まった、政治資金を厳しくチェックする第三者機関「政治資金監視委員会」の具体的な制度設計についても、与野党の枠を越えたツメの議論が続いています。
企業・団体献金については、カネの流れの透明性を高めた上で規制を強化し、不正の温床とならない仕組みづくりが何より重要です。各党の主張は依然、隔たりがありますが、公明党が橋渡し役となって幅広い合意形成をめざします。
これからも、国民の政治不信払しょくに向けて、公明党が先頭に立って、全力で取り組んでまいります。
【選択的夫婦別姓制度について】
個人のアイデンティティ
公明党は、個人の選択の自由と多様な家族のあり方を尊重する観点から、結婚の際に夫婦が同姓または別姓を選ぶことができる「選択的夫婦別姓制度」の導入を推進しています。個人の氏名は単なる「呼称」ではなく、その人の「アイデンティティ」そのものです。しかし、現行の制度では、結婚する際に夫婦どちらかの姓に決めなければなりません。
国民的議論の必要性
一方で、社会の根幹に関わる問題であり、個人の権利や多様性の尊重、家族観や子どもの姓、社会システムへの影響などの論点に関して、各党でさまざまな意見があり、さらなる国民的な議論が必要です。
合意形成と実現への取り組み
公明党は、1996年の法制審議会答申を踏まえた上で、現行の戸籍制度を維持しながら、国民の分断や新たな差別が生じないよう、幅広い合意形成を図りつつ、引き続き「選択的夫婦別姓制度」の導入実現に取り組んでまいります。
【消費税の軽減税率について】
社会保障制度の持続可能性
少子高齢化、人口減少が進むなか、国民の将来不安を払拭するためには、社会保障制度の持続可能性の確保が何より重要です。そのために公明党は、社会保障と税の一体改革を行い、安定財源を確保しつつ、年金・医療・介護・子育て支援など社会保障の充実に取り組んできました。
物価高と家計への影響
一方で足元の物価高、とりわけ食料品の継続的な値上げが家計に与える影響は大きく、2024年のエンゲル係数は28.3%と、1981年以来、43年ぶりの高水準を記録しました。
こうした中で、公明党の主張で導入した消費税の軽減税率は、日々の生活に不可欠な食料品の購入にかかる痛税感を緩和し、家計の負担を軽減する大事な役割を果たしています。
軽減税率の今後
その上で公明党は、軽減税率について、財源を確保しながら、福祉的な観点から税率を深掘りし、恒久的な措置にしていくことが必要と考えます。
我が国の消費税率10%は、導入している主要国で最も低い税率ですが、軽減税率8%は最も高い水準となっています。
他党の中には、物価高対策として軽減税率の時限的な引き下げを主張する声もありますが、公明党は、一時的な物価高対策のために消費税率を下げることは、事業者の手間等も考えると非効率であり、適切ではないと考えています。
国民が安心できる社会保障制度の構築は、与野党共通の最重要課題であり、こうした議論とあわせて、軽減税率のあり方を検討していくべきです。軽減税率が果たす役割や機能を一層拡大し、生活の安心へとつなげていくために、税率の引き下げなどについて検討を進めます。
【日本国憲法について】
日本国憲法は、戦後民主主義の基盤を築いた優れた憲法です。とくに国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理は、普遍の原理として、将来とも堅持します。
一方、憲法施行時には想定されなかった新しい理念や、憲法改正でしか解決できない課題が明らかになれば、必要な規定を付け加えること(加憲)は検討されるべきです。
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憲法9条と自衛隊
憲法9条1項、2項は、今後とも堅持します。戦後、9条の下で専守防衛の理念が果たした役割は大変に大きいものがありました。
一部にある自衛隊違憲論を解消するため、9条1項、2項を維持したまま、別の条項で自衛隊の存在を憲法上明記すべきとの意見があります。しかしながら多くの国民は、現在の自衛隊の活動を理解し支持しています。
一方、自衛隊はわが国最大の実力組織です。内閣や国会による自衛隊の民主的統制を確保することは国民主権の原理からも重要で、これを自衛隊法等の法律だけでなく、憲法が定める統治機構の中に位置付けることについて、検討を進めてまいります。
9年前に施行された平和安全法制は、9条の下での自衛の措置の限界(新3要件)を明確にしました。この法整備により、わが国防衛のための日米防衛協力が大きく進展し、抑止力が強化されました。ミサイルの発射実験を頻繁に繰り返す北朝鮮など、日本をめぐる安全保障環境はさらに厳しさを増しています。今後とも、わが国の平和と安全を確保するため、さらなる外交努力を尽くすとともに、防衛力の整備を進め、日米同盟による抑止力のさらなる強化を図ってまいります。
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緊急事態における国会機能の維持
わが国に大災害が襲うなど国家の危機といえる事態に、国会機能を維持することは極めて重要です。緊急の立法措置や必要な予算を速やかに成立させ、行政を監視することは、国会の責務です。
国家の危機といえる緊急事態時に、国会議員の任期の延長を認めるべきか議論があります。国会議員の任期については、衆院議員は4年、参院議員は6年と憲法で明確に規定されています(憲法45条、46条)。例えば、任期満了直前に東日本大震災のような大災害等が起こり、国政選挙の実施が長期間困難となる場合が想定されます。こうした場合に備えて、憲法を改正し、国会議員の任期延長を認めるべきではないかとの考え方があります。一方では、現行憲法には、衆議院の解散後、国に緊急の必要があるときは、内閣は参議院の緊急集会を求めることができ(同54条2項、3項)、議員任期の延長は必要がないとの意見があります。他方、国会は二院制で、衆議院と参議院とで構成され(同42条)、予算案、法律案をはじめすべての案件は両議院の議決があって成立するのが大原則です。参議院の緊急集会は、憲法上、国会の二院制の例外となるものです。緊急事態の発生により総選挙の実施が長期間困難で、衆議院の不在が長期間にわたると認められる場合に、この間、参議院の緊急集会の議決のみで国会の議決とするのは、二院制の趣旨にもとるのではないかとの指摘があります。議会制民主主義の基本に関わることであり、また緊急集会が参議院の基本的かつ重要な権能であることを踏まえながら、任期延長ができる要件、手続きをどう厳格かつ明確に定められるのかを含め、さらに論議を積み重ねてまいります。
オンラインによる国会審議、採決に参加できる制度を創設します。国会議員の多くが本会議場に参集することが極めて困難な事態に、例外的にオンラインでの参加を認めることは、憲法56条1項(議事の定足数)、57条1項(会議の公開)の趣旨に反するとはいえず、各議院の自律権(同58条2項)の範囲内と考えられます。その上で、「国会議員が議場に参集することが困難なときその他特別の事情があるときは、オンライン出席ができること」を確認的に明記すべきだと考えます。
また国家の緊急時に、国民の自由を制約し、また内閣に緊急政令を発出できる根拠を憲法上明記すべきとの意見があります。現行憲法にも、営業の自由や移動の自由、財産権の内容などに、公共の福祉による制約があることが規定されています。国家の緊急時といってもさまざまな事態があり、それぞれの危機管理法制の中で私権に対する一定の制約とその手続き、必要な補償規定等を具体的に整備してゆくしかないと思われます。また不測の事態にも対応できるよう、政令委任ができる範囲をあらかじめ法律の中に規定すべきだと考えます。
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デジタル社会の進展と憲法
デジタル技術の急速な進展により、個人情報の不適切な利用や、ネット上での情報操作によって民主主義の過程が歪められるおそれなど、憲法上の人権保障や民主主義に大きな影響が及んでいます。
デジタル社会において一人ひとりが自律的な個人として尊重される人権保障のあり方を検討します。また、個人情報の保護について憲法上の位置づけを検討するとともに、人間中心のデジタル社会を構築するため、『デジタル基本法(仮称)』の策定をめざします。
情報格差により、さまざまな利益を享受できる機会を失うことがないよう、その解消に向けての国や事業者の責務等が検討されるべきです。
選挙や国民投票の際、国民の自由な意思形成過程が保障され、有権者が多様な情報にアクセスできるよう、国や事業者の役割等を検討すべきと考えます。
地球環境保全の責務
次世代への責務
良好な地球環境を保全し、次の世代へ引き継いでゆくことは、現世代の責務です。例えば脱炭素社会の構築は、国際社会が直面する最大の課題です。憲法制定時には全く想定できなかった事態で、憲法上、国及び国民の地球環境保全の責務等を規定することについて、議論を深めていきます。
持続可能な社会
環境保全と経済発展を両立させる持続可能な社会の実現に向けて、国や地方自治体、企業、そして国民一人ひとりが果たすべき役割を明確にし、協力して取り組む体制づくりが重要です。
環境政策の推進
再生可能エネルギーの普及促進や資源循環型社会の構築など、具体的な環境政策を積極的に推進し、国際社会における日本の責任を果たしていきます。
国民投票法と広告規制
現行の広告規制は、投票期日直前の14日間、国民投票運動のためのテレビ、ラジオによる広告放送を禁止しています。テレビ等の放送は、扇情的な影響力を持ちやすく、また資金量の多寡が広告の量に影響し、投票の公平公正を阻害するおそれがあると考えられたからです。
国民の意思表明である国民投票運動は、できる限り自由な運動を保障すべきです。広告放送について、さらに規制を強化すべきとの意見がありますが、表現の自由に対する過度な法規制には慎重でなければなりません。これ以上の規制については、広告の出し手である政党側と受け手の放送事業者等のそれぞれの自主規制、自主ルールに委ねられるべきです。
また、インターネット広告を利用した国民投票運動についても、同様に政党側の自主規制と事業者側の自主的な取り組みをあわせて推進し、表現の自由と投票の公平公正のバランスを図っていくべきと考えます。
安定的な皇位継承のあり方について
国家の基本
安定的な皇位継承が確保されることは、国家の基本に関わることです。
公明党は2024年4月、減少する皇族数の確保策に関する党の考え方を「意見書」としてまとめました。
皇族数確保の方策
政府の有識者会議の報告書で示された「女性皇族(内親王・女王)の婚姻後の皇族の身分保持」と「男系男子の養子縁組」については、皇族数確保の具体的方策として適切であると考えます。制度の検討にあたっては「国民の理解」「歴史と伝統の尊重」「皇族の方々の思い」の三つの観点が重要です。
将来の検討課題
悠仁親王殿下までの皇位継承の流れを不安定化させることはあってはなりません。悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承資格については、将来の検討課題として、静かな環境の下で議論を深めてゆくべきです。