5.国際社会の平和と安定
現在、国際社会は地政学的対立、核の脅威、AIの急速な進化による新たなリスクに直面しており、人間の安全保障はかつてないほど脅かされています。こうした状況を受け、公明党は2025年の「戦後・被爆・国連創設80年」という節目を機に「平和創出ビジョン」を提唱しました。
人間の安全保障を基軸に、対話外交を進め、北東アジア安全保障対話・協力機構の創設、核廃絶、AIがもたらす新たなリスクへの対応など、対立を超えた協調を生み出します。また、ウクライナの復旧・復興を進めていくための地雷除去支援、気候変動対策や国際保健(グローバルヘルス)の推進など、地球規模課題の解決のため、多国間協力の構築を主導し、平和の潮流を創出していきます。
平和創出ビジョンの全文
公明党の「平和創出ビジョン」
戦争のない世界のための国際秩序の構築
公明党は「平和創出ビジョン」に基づき、積極的な対話と平和外交を一層強化します。自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値や原則に基づく国際秩序の堅持に取り組みながら、地球規模課題の解決、そして日本と国際社会の平和と安定のために、国際社会の国・地域と連携・協力を強化します。地雷除去や国際保健など日本の国際貢献の成果をわかりやすく国内外に発信し、国民に平和国家としての誇りと使命感を醸成します。学校教育やメディアを通じて人間の安全保障やSDGs(持続可能な開発目標)の理念を広め、国民的合意のもとで一貫した平和外交を推進します。
法の支配や国際ルールを大切にする国々と連携しながら、紛争を未然に防止する対話の枠組みを強化する観点から、安全保障環境が厳しさと複雑さを増している北東アジアにおける多国間の安全保障対話・協力機構の創設を日本が主導して推進します。
AI等の新興技術により自律的に攻撃を実行するLAWS(自律型致死兵器システム)について、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みにおける政府専門家会合(GGE)での議論・交渉を前に進め、LAWS開発を禁止する技術的要件等の規制の具体策を含め、国際社会での合意形成を図るため、日本が主導して議論を加速させていきます。
核兵器のない世界の実現へ
唯一の戦争被爆国として、核兵器による威嚇や使用、核共有の導入に断固反対します。国是である非核三原則を堅持しつつ、「核兵器の役割低減に関する首脳級会合」の提案や核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加など、あらゆる機会を通じて議論を提起し、核兵器国と非核兵器国との間の「橋渡し」の役割を担い、さまざまなNGOと連携しながら、核兵器禁止条約の署名・批准に向けた環境整備を進めます。
SDGs達成へ取り組みを加速
人間の安全保障の理念に立脚しながら、気候変動、国際保健、食料・農業、防災、貧困撲滅、平和構築、人道、難民・避難民問題、ジェンダー平等、教育等、国際社会共通の重要課題への対応を主導し、推進します。
新たな開発協力大綱を踏まえ、ODAを拡充し、SDGsの2030年達成に向けた国内外の取り組みを政府、国際機関、自治体、民間企業、NGOやNPOなど多様なステークホルダーと連携し、加速化させます。また、2030 年以降の目標(ポストSDGs)の策定に向けた議論を官民で喚起し、国際社会をリードしていきます。
将来世代が安心して暮らせる豊かな地球環境を引き継いでいけるよう、世界全体での1.5℃目標の達成をめざす2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めます。そのためにも、積極的に若い世代をはじめとした多様な声や意見を聞き、反映するための環境整備を進めるとともに、日本の優れた脱炭素技術を海外に展開し、世界全体の気候変動対策を日本がリードします。また、国内におけるサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を加速し、地域脱炭素と地方創生の同時実現を図ります。